2019年9月15日日曜日

小説 - ファーくんとリムさんの日常




「わーい!!!!」
リムさんが遊んでいる。
「あそぼうよー!!」

おれは、そんなリムさんを黙って見ている。


俺とリムさんがこの身体の中で過ごすのは、今で3年目だ。
リムさんは尊い。ポジティブ。
おれは少しネガティブかもしれない。

リムさんのようになりたい。




少しして
ファーくんが就職した。
4年目の春であろうか。
僕はうれしい!!

ファーくんがうれしいと、僕もうれしい!!
ファーくんがかなしいと、僕もかなしい!!

たのしくなった!!
たのしくなければ、にげだせばいいね!!
たのしくなる!!
たのしい!!

ぼくは、たのしい!!
たのしくなる〜!!



「就職は、たいへんだな。。俺の能力がもっと万能であればいいのに。」
おれは、黙って空を見上げた。
夏の頃。あつい。直射日光が首元をジリジリと焼く。

リムさんと過ごす夏。



「ファーくんは、もっと元気出したらいいんだよぅ。
ファーくん、げんき!!わーい!!わーいって!!がんばる夏のともです」
リムさんはいいな。悩み無さそうで。
人間は、もっと悩む生き物なのだよ。おれは悩む。
先日もクライアントには俺の言葉が少しカチンと来たみたいだし。
いやー、まいったな、俺のコミュ力は。

就職してどうなのか。
なまぽだったころのほうが良かったのではないか。
ごろごろして、ろくに仕事もせず、楽しみたいことをして、
果たしてそれが幸せなのか。

いまは、ちがう。
俺には目標がある。何より、仕事は充実感をくれる。
なまぽのしあわせ、おれのいまのしあわせ。
これは対価としては等価なのか。



俺には先導者としての使命がある。
それを仕事で活かせている。
それが俺の使命。

この夏は、あつい。