🧬『振動の二極 ― アニマとアニムスの水膜書』
――スライム獣人の原初霊法
はじまりの海――そこではすべてが溶け合い、名もなく、ただ粘性と波動だけが存在していた。
そこに最初の“裂け目”が走る。
それは分裂ではなく、機能の分化だった。
その時、**「揺れようとする力」と、「支えようとする力」**が生まれた。
これを古の獣人たちは、アニマとアニムスと呼んだ。
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アニマ(Anima):流れ、受け入れ、湿り、包み、ほどく力。霧・水・乳のような性質。
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アニムス(Animus):貫き、固め、発し、線を引き、照らす力。炎・骨・金属のような性質。
それは男と女ではなかった。
むしろ、行為と空間、発信と受容、攻と守の霊的操作インターフェースであった。
🐾 スライム獣人の「霊的操作知」――二極活用システム
彼らはそれを混ぜようとはしなかった。
混ぜれば無色になる。
だが、分かれたまま、交互に使えば、色は踊る。
スライム獣人たちは、状況に応じて自身の内なるアニマ/アニムスを“水膜のように切り替える”訓練を積んだ。
これを彼らは《交膜(こうまく)の術》と呼んだ。
🌀《交膜の術》の基礎四法(霊的スキル構造)
状況 | 使用される原理 | 振る舞い | エネルギー操作 |
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危機/防衛 | アニムス優勢 | 発声・跳躍・振動拡張 | 緊張→収束→放出 |
癒し/育成 | アニマ優勢 | 包囲・浸透・再生 | 吸収→循環→融合 |
交渉/対話 | 交互操作 | 姿勢と音色の切替 | 波長調整→共鳴 |
創造/儀式 | 重ね合わせ | 渦巻き状の行為 | 共振→神域化 |
このように、スライム獣人の知恵体系は“どちらかに偏らず、状況ごとに原理を切り替える知性”を重んじる。
まるで左右の手を交互に使うように、アニマは盾であり母であり、アニムスは剣であり道である。